ゴヤ映画コレクションのDVD発売*ゴヤ賞2022 ― 2022年03月03日 13:55
どこでゴヤ賞ノミネート作品を観ることができますか?

(イシアル・ボリャインの「Maixabel」のジャケット)
★第36回ゴヤ賞2022関連の映画は、おおかた映画館での上映は終了している。ではどこで観ることができるかといえばDVD、ということで受賞作品、ノミネート作品を含めて、エル・パイスによるコレクションCine Goya 2022の19作品が2月20日から9.95€(約1300円)で順次発売されることになった。DVDの価格は普通17.95~15.95€だから割安感ある。とにかく我が家で観ることができるようになります。単品のほか5作(または4作)1パックのまとめ買いをすると10%引きになる。しかしパックの中身が決まっているので10%引きでは人気がないかもしれない。
★作品賞受賞作品のフェルナンド・レオン・デ・アラノア「El buen patrón」は既に発売されていて含まれていないが、なかにはマルセル・バレナの「Mediterraneo」のように既発があっても含まれているものもある。仕様や解説の中身で違いが出るから懐と相談して選ぶことができる。第1弾はブランカ・ポルティーリョの主演女優賞を含めて3冠のイシアル・ボリャインの「Maixabel」が2月20日発売、続いてペドロ・アルモドバル「Madres paralelas」が2月27日に発売になりました。
★以下リストをアップしておきます。ヨーロッパ映画賞にノミネートされた3作が含まれています。(作品名、監督名、受賞あるいはノミネートのカテゴリー、主なキャスト、トレビアなど)
1「Maixabel」イシアル・ボリャイン、主演女優賞ブランカ・ポルティーリョ、助演男優賞ウルコ・オラサバル、新人女優賞マリア・セレスエラ、各受賞。発売日2月20日
*作品紹介は、コチラ⇒2021年08月05日

2「Madres paralelas」ペドロ・アルモドバル、作品賞以下ノミネーション8個でしたが無冠、ベネチア映画祭2021オープニング作品、発売日2月27日
*作品紹介は、コチラ⇒2021年09月04日

3「Chavalas」カロル・ロドリゲス・コラス、新人監督賞・新人女優賞にアンヘラ・セルバンテスがノミネートされたが叶わなかった。4人の女友達の物語、コメディドラマで若い観客に人気があった。

4「Libertad」(『リベルタード』)クララ・ロケ、新人監督賞と助演女優賞にノラ・ナバスが受賞、本作はラテンビート2021でオンライン配信された。
*作品紹介は、コチラ⇒2021年10月12日/同年11月20日

5「Mediterraneo」マルセル・バレナ、作品賞ノミネート、撮影賞受賞キコ・デ・ラ・リカ受賞、オリジナル歌曲賞ノミネート。癌を克服したダニ・ロビラとエドゥアルド・フェルナンデスが主演した政治ドラマでもある。
*作品紹介は、コチラ⇒2021年12月13日

6「La hija」(『ザ・ドーター』)マヌエル・マルティン・クエンカ、監督賞と主演男優賞にハビエル・グティエレスがノミネートされた。東京国際映画祭2021コンペティション部門上映。
*作品紹介は、コチラ⇒2021年10月16日/同年11月07日

7「Un blues para Teherán」ハビエル・トレンティノ、製作アレハンドラ・モラ・ぺレス、 ルイス・ミニャロ、ドキュメンタリー賞にノミネートされた。
*作品紹介は、コチラ⇒2021年09月14日

8「Tres」フアンホ・ヒメネス・ペーニャ、録音賞受賞、オリジナル脚本賞に監督とペレ・アルタミラがノミネートされた。

9「Way Down」ジャウマ・バラゲロ、特殊効果賞にパウ・コスタ、ラウラ・ペドロが受賞した。


11「Pan de limon con semillas de amapola」ベニト・サンブラノ&クリスティナ・カンポス、脚色賞ノミネート

12「Una mujer prometedora」(『プロミシング・ヤング・ウーマン』)エメラルド・フェネル、イギリス、2020、キャリー・マリガン主演、米アカデミー賞2021オリジナル脚本賞、2021年公開、プライムビデオ配信。

13「Adiós idiota」アルベール・デュポンテル、フランス、2020、フレンチコメディ、監督自身が主役を演じている。セザール賞2021で作品賞以下、監督賞など総なめにした。

14「El amor en su lugar」ロドリゴ・コルテス、衣装デザイン賞にアルベルト・バルカルセル、プロダクション賞にオスカル・ビヒオラがノミネートされた。



17「Otra ronda」(『アナザーラウンド』)トマス・ヴィンターベア、ヨーロッパ映画賞受賞。デンマーク、2020、ブラックコメディ、マッツ・ミケルセン主演。米アカデミー賞2021国際長編映画賞受賞。

18「La vida era eso」(『マリアの旅』)ダビ・マルティン・デ・ロス・サントス、新人監督賞、主演女優賞ペトラ・マルティネス、ノミネート。ラテンビート2020上映
*作品紹介は、コチラ⇒2020年10月27日/同年11月29日

19「Salvar el árbol」カルメロ・ビバンコ、エゴイツ・ロドリゲスほか、長編アニメーション賞ノミネート

★パック1はナンバー2,3,4,5、6の5作品、パック2は7、8、9、10の4作品、パック3は11、12、13、14、15の5作品、パック4は16、17、18、19の4作品。
ゴヤ賞ガラに参集したセレブたち*ゴヤ賞2022 ― 2022年02月21日 11:07
6冠のレオン・デ・アラノア・チーム、手ぶらだったアルモドバル・チーム

(スピーチをするスペイン映画アカデミー会長マリアーノ・バロッソ)
★去る2月12日、ルイス・ガルシア・ベルランガ生誕100周年記念行事の締めくくりとして、第36回ゴヤ賞ガラは彼の生地バレンシアで開催された。新型コロナ感染が一向に収束する気配のないなかで、観客を入れての厳しい開催だった。受賞者の面々は前回アップいたしましたので、今回は思い思いにドレスアップしてゴヤの夕べに参集したシネアストたちのフォトを集めてみました。最多受賞はフェルナンド・レオン・デ・アラノアの「El buen patrón」の6冠(作品・監督・オリジナル脚本・主演男優・編集・オリジナル作曲)、28カテゴリーのうち、1作品がマックスで貰えるのは20個ですから約3分の1を制覇したことになります。二番手はダニエル・モンソンの「Las leyes de la frontera」がテクニカル部門を含む4冠(脚色・新人男優・美術・衣装デザイン賞)と奮闘した。
★続くはイシアル・ボリャインの「Maixabel」の3冠(主演女優・助演男優・新人女優)、同じくマルセル・バレナの「Mediterráneo」の3冠(撮影・プロダクション・オリジナル歌曲賞)でした。そして無冠に終わったのがなんとペドロ・アルモドバルの「Madres paralelas」なのでした。明暗を分けた原因は何だったのでしょうか。監督は主役のペネロペ・クルスと今回新設された国際ゴヤ(Goya Internacional)に選ばれたオーストラリアの女優ケイト・ブランシェットのプレゼンターとして登壇しただけで、手ぶらで帰ることになったのでした。アルモドバルがプレゼンターになったのは、次回作にルシア・ベルリンの短編「Manual para mijeres de la limpieza」をベースに映画化する新作の主役にブランシェットを起用するからでした。英語映画になります。
「映画館でお会い致しましょう!」
★以下は赤絨毯に登場したシネアストのフォト集です。受賞者、候補者、プレゼンター、カップルも結構目につきましたが、ベストドレッサーに選ばれた女優さんを選んでみました。マスク着用が原則ですが、フォトコールはマスク無し、メディアのインタビューは有る無しに分かれました。では今度は「映画館でお会い致しましょう!」

(「幸せで呆然としています。今夜はゴヤの人形を頂きに参りました」とコメント)

(タキシードで正装したホセ・サクリスタンとアンパロ・パスクアル)

(イシアル・ボリャインと映画のモデルとなったマイシャベル・ラサ)

(アルモドバル・チームのアイタナ・サンチェス・ヒホン、ペネロペ・クルス、
監督、ミレナ・スミット)

(ベストドレッサー2位のケイト・ブランシェット、ジョルジオ・アルマーニ)

(主演男優、主演女優のハビエル・バルデムとブランカ・ポルティーリョ)

(フェロス賞主演女優賞を受賞したばかりのペトラ・マルティネス)

(主演女優賞ノミネートのエンマ・スアレス)

(主演男優ノミネートのルイス・トサールとマリア・ルイサ・マジョール、
ルイサのドレスはコルドバ出身のアンドリュー・ポクリッド)

(エドゥアルド・フェルナンデスと新しいパートナー?のアイノア・アルダノンド)

(ペドロ・アルモドバルとペネロペ・クルス)

(夫婦円満をアピールするバルデム、クルスのカップル)

(シャネル2021春夏コレクションのオートクチュール)

(アイタナ・サンチェス・ヒホン、ロベルト・ディスのデザイン、宝石はカルティエ)

(ミレナ・スミット、フランスの若手オリヴィエ・ルスタンのデザイン)

(短編映画賞受賞のベロニカ・エチェギとアレックス・ガルシア、ディオールの
2022春夏コレクション、Maria Grazia Chiuri)

(いつも奇抜な衣装でファンを楽しませるマカレナ・ゴメスとアルド・コマス、
バルセロナのデザイナー、テレサ・エルビグHelbig)

(歌手ルス・カサル、テレサ・エルビグ、次回のコンサートに着用する)

(ベストドレッサー1位のフアナ・アコスタ、オスカル・デ・ラ・レンタのデザイン)

(同3位のニエベス・アルバレス、リズ・テイラーが所有していた宝飾品、
ステファン・ロランドの春の最新パリ・オートクチュール)

(昨年のゴヤ栄誉賞受賞者アンヘラ・モリーナ、ディオール)

(ナイワ・ニムリ、スパンコールのドレス、ジバンシーのデザイン)

(金色のスカートが印象的なバルバラ・レニー、グッチ、宝石はカルティエ)

(インマ・クエスタ、ペドロ・デル・イエロのデザイン)

(カルメン・マチ)

(パンツルックに透明な広がったスカートのベレン・ルエダ、
デザインはバレンスエラ・アテリエル)

(パープルの袖なしに金のサンダル、パウラ・パラシオス監督)

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(話題を呼んだパウラ・エチェバリアのドレスは、コルドバ出身
の若いデザイナー、アンドリュー・ポクリッドのデザイン)

(新人女優賞候補者アルムデナ・アモール、ヴァレンティノ)

(挑戦的なデザインのエドゥアルド・カサノバ、デザインはハイメ・アルバレス)

(マルタ・ニエト、ローマ出身のデザイナー、ジャンバティスタ・ヴァリ)

(流行の透け透けルック、クリスティナ・カスターニョ、ロベルト・ディス)

(新人男優賞ノミネートのホルヘ・モトス、デザインはパロモ・スペイン)
「El buen patron」が6冠*ゴヤ賞2022受賞結果 ― 2022年02月13日 18:23
やはり「El buen patrón」が主要カテゴリーを独占しました

★2月12日、第36回ゴヤ賞2022のガラがバレンシアのPalau de les Artes で開催され受賞結果は以下の通りになりました。取りあえず結果のみをアップしておきます。初めて知ったのですが今回から国際ゴヤ賞が新設され、ケイト・ブランシェットが受賞しました。プレゼンターはペドロ・アルモドバルとペネロペ・クルス、監督は新作「Manual para mijeres de la limpieza」(仮題)に起用するようです。ルシア・ベルリンの同名小説の映画化。ゴチック体が受賞者、フォトは入手できたものをアップしておきます。

(ケイト・ブランシェット、アルモドバル、ペネロペ・クルス)
*第36回ゴヤ賞2022受賞結果*
◎作品賞(5作品)
「Maixabel」* 監督イシアル・ボリャイン
「Madres paralelas」* 監督ペドロ・アルモドバル
「Libertad」* 監督クララ・ロケ(邦題『リベルタード』)
「Mediterráneo」* 監督マルセル・バレナ
「El buen patorón」* 監督フェルナンド・レオン・デ・アラノア
製作者ジャウマ・ロウレス、ハビエル・メンデス、レオン・デ・アラノア

(スピーチするジャウマ・ロウレス、ハビエル・メンデス、レオン・デ・アラノア)
◎監督賞
マヌエル・マルティン・クエンカ 「La hija」*(邦題『ザ・ドーター』)
ペドロ・アルモドバル 「Madres paralelas」
イシアル・ボリャイン 「Maixabel」
フェルナンド・レオン・デ・アラノア 「El buen patorón」

◎新人監督賞
カロル・ロドリゲス・コラス 「Chavalas」
ハビエル・マルコ 「Josefina」*
ダビ・マルティン・デ・ロス・サントス 「La vida era eso」*(邦題『マリアの旅』)
クララ・ロケ「Libertad」(邦題『リベルタード』)

◎オリジナル脚本賞
クララ・ロケ 「Libertad」
イシアル・ボリャイン 「Maixabel」
フアンホ・ヒメネス・ペーニャ&ペレ・アルタミラ 「Tres」監督は脚本に同じ
フェルナンド・レオン・デ・アラノア 「El buen patorón」

◎脚色賞
フリア・デ・パス・ソルバス&ヌリア・ドゥンホ・ロペス 「Ama」*
アグスティ・ビリャロンガ 「El vientre del mar」*
ベニト・サンブラノ&クリスティナ・カンポス 「Pan de limon con semillas de amapola」
ダニエル・モンソン&ホルヘ・ゲリカエチェバリア 「Las leyes de la frontera」

(脚本家ホルヘ・ゲリカエチェバリアとダニエル・モンソン監督)
◎主演男優賞
ハビエル・グティエレス 「La hija」(邦題『ザ・ドーター』)
ルイス・トサール 「Maixabel」
エドゥアルド・フェルナンデス 「Mediterráneo」
ハビエル・バルデム 「El buen patorón」

◎主演女優賞
エンマ・スアレス 「Josefina」
ペトラ・マルティネス 「La vida era eso」(邦題『マリアの旅』)
ペネロペ・クルス 「Madres paralelas」
ブランカ・ポルティリョ 「Maixabel」

◎助演男優賞
セルソ・ブガージョ 「El buen patorón」
フェルナンド・アルビス 「El buen patorón」
マノロ・ソロ 「El buen patorón」
ウルコ・オラサバル 「Maixabel」

◎助演女優賞
ソニア・アルマルチャ 「El buen patorón」
アイタナ・サンチェス=ヒホン 「Madres paralelas」
ミレナ・スミス 「Madres paralelas」
ノラ・ナバス 「Libertad」(邦題『リベルタード』)

◎新人男優賞
オスカル・デ・ラ・フエンテ 「El buen patorón」
タリク・ルミリ 「El buen patorón」
ホルヘ・モトス 「Lucas」* 監督アレックス・モントーヤ
チェチュ・サルガド 「Las leyes de la frontera」

◎新人女優賞
アンヘラ・セルバンテス 「Chavalas」
アルムデナ・アモール 「El buen patorón」
ニコル・ガルシア 「Libertad」(邦題『リベルタード』)
マリア・セレスエラ 「Maixabel」

◎オリジナル作曲賞
Fatima Al Qadiri 「La abuela」* 監督パコ・プラサ
アルベルト・イグレシアス 「Maixabel」
アルナウ・バタジェール 「Mediterráneo」
Zeltia Montes 「El buen patorón」

◎オリジナル歌曲賞
“Burst Out” 作曲家アンヘル・レイロ、ジャン=ポール・Dupeyron、ハビエル・カペリャス
「Album de posguerra」 監督アイリー・マラガル&アンヘル・レイロ
“Que me busquen por dentro” アントニオ・オロスコ、ジョルディ・コレル・ピニリョス
「El cover」* 監督セクン・デ・ラ・ロサ
“Las leyes de la frontera” アレハンドロ・ガルシア・ロドリゲス、A・モリネロ・レオン他 「Las leyes de la frontera」
“Te espera el mar” マリア・ホセ・リェルゴ 「Mediterráneo」

◎長編アニメーション賞
「Gora automatikoa」 カルロス・ゲレーロ、ダビ・ガラン・ガリンド、ほか
「Mironins」 アレックス・セルバンテス、アンヘル・コロナド、ほか
「Salvar el árbol (Zutik!)」 カルメロ・ビバンコ、エゴイツ・ロドリゲス、ほか
「Valentina」 ブランダン・デ・ブラノ、チェロ・ロウレイロ、ほか

(赤のドレスがチェロ・ロウレイロ)
◎ドキュメンタリー賞
「El retorno: La vida después del ISIS」 アルバ・ソトラ、カルレス・トラス、ベスナ・クディク
「Héroes, silencio y rock and roll」 ホセ・パストル、ミゲル・アンヘル・ラマタ、ほか
「Un blues para Teherán」* アレハンドラ・モラ・ペレス、ルイス・ミニャロ
「Quién lo impide」 ハビエル・ラフエンテ、ラウラ・レナウ、ロレナ・トゥデラ

(左から4人目がホナス・トゥルエバ監督)
◎短編映画賞
「Farrucas」 イアン・デ・ラ・ロサ
「Mindanao」 ボルハ・ソレル
「Votamos」サンティアゴ・レケホ
「Yalla」 カルロ・ドゥルシ
「Totem Loba」 ベロニカ・エチェギ

(女優&監督ベロニカ・エチェギ)
◎短編ドキュメンタリー賞
「Dajla: Cine y olvido」 アルトゥーロ・ドゥエニャス
「Figurante」 ナチョ・フェルナンデス
「Ulises」 ジョアン・ボヴェル
「Mamá」 パブロ・デ・ラ・チカ

◎短編アニメーション賞
「Nacer」 ロベルト・バリェ
「Proceso de selección」 カルラ・ペレイラ
「Umbrellas」 アルバロ・ロブレス、ホセ・プラツ
「The Monkey」 ロレンソ・デグルイノセンティ、ホセ・サパタ

◎撮影賞
パウ・エステベ・ビルバ 「El buen patorón」
グリス・ジョルダナ 「Libertad」
ホセ・ルイス・アルカイネ「 Madres paralelas」
キコ・デ・ラ・リカ 「Mediterráneo」

◎録音賞
イバン・マリン、ペラヨ・グティエレス、バレリア・アルシエリ 「El buen patorón」
セルヒオ・ビュルマン、ライア・カサノバス、マルク・オルス 「Madres paralelas」
アラスネ・アメスロイ、フアン・フェロ、カンデラ・パレンシア 「Maixabel」
ダニエル・フォンロドナ、オリオル・タラゴ、マルク・ビー、マルク・オルス「Tres」

◎編集賞
アントニオ・フルロス 「Bajocero」 監督リュイス・キレス(『薄氷』Netflix)
ミゲル・ドブラド 「Josefina」
ナチョ・ルイス・カピリャス 「Maixabel」
バネッサ・マリンベル 「El buen patorón」

◎特殊効果賞
ラウル・ロマニリョス、ミリアム・ピケル 「El buen patorón」
ラウル・ロマニリョス、フェラン・ピケル 「La abuela」
アレックス・ビリャグラサ 「Mediterráneo」
パウ・コスタ、ラウラ・ペドロ 「Way Down」「The Vault」 監督ジャウマ・バラゲロ

(パウ・コスタ、ラウラ・ペドロ)
◎美術賞
セサル・マカロン 「El buen patorón」
アンチョン・ゴメス 「Madres paralelas」
ミケル・セラーノ「Maixabel」
バルテル・ガリャル 「Las leyes de la frontera」

◎衣装デザイン賞
アルベルト・バルカルセル 「El amor en su lugar」 監督ロドリゴ・コルテス
フェルナンド・ガルシア 「El buen patorón」
クララ・ビルバオ「Maixabel」
Vinyel Escobal 「Las leyes de la frontera」

◎メイクアップ&ヘアー賞
アルムデナ・フォンセカ、マノロ・ガルシア 「El buen patorón」
エリ・アダネス、セルヒオ・ぺレス・ベルベル、ナチョ・ディアス 「Libertad」
カルメレ・ソレル、セルヒオ・ぺレス・ベルベル 「Maixabel」
サライ・ロドリゲス、ベンハミン・ぺレス、ナチョ・ディアス
「Las leyes de la frontera」

(サライ・ロドリゲス、ベンハミン・ぺレス、ナチョ・ディアス)
◎プロダクション賞
オスカル・ビヒオラ 「El amor en su lugar」
ルイス・グティエレス 「El buen patorón」
グアダルーペ・バラゲル・トレリス 「Maixabel」
アルベルト・エスペル、コスラス・セアキアナキス 「Mediterráneo」

◎イベロアメリカ映画賞
「Canción sin nombre」*(邦題『名もなき歌』)(ペルー、19)監督メリナ・レオン
「Las siamesas」 監督パウラ・エルナンデス(アルゼンチン、20)
「Los lobos」 監督サムエル・キシ(メキシコ、19)
「La cordillera de los sueños」*(邦題『夢のアンデス』)ドキュメンタリー
(チリ、19) 監督パトリシア・グスマン
◎ヨーロッパ映画賞(原題、英題、西題、邦題の順)
「Adieu les cons」「Bye Bye Morons」「Adiós, idiotas」(フランス、20)
監督アルベール・デュポンテル
「Ich bin dein Mensch」「I’m Your Man」「El hombre perfecto」
『私はあなたの男です』 (ドイツ、21) 監督マリア・シュラーダー
「Promising Young Woman」「Una joven prometedora」(UK、20)
『プロミシング・ヤング・ウーマン』 監督エメラルド・フェネル
「Dunk」「Another Round」「Otra ronda」『アナザーラウンド』(デンマーク、20)
監督トマス・ヴィンターベア
◎ゴヤ栄誉賞◎
*ホセ・サクリスタン、プレゼンターはスペイン映画アカデミー副会長のノラ・ナバスでした。彼女はクララ・ロケの『リベルタード』出演で助演女優賞を受賞しました。


(今宵の受賞者、バルデムとレオン・デ・アラノアと一緒に)
「El buen patron」ノミネートならず*第94回アカデミー賞2022 ― 2022年02月11日 12:01
オスカー夫妻バルデム&クルスが揃って主演俳優賞にノミネート

(ハビエル・バルデムとペネロペ・クルスがカップルでノミネート)
★フェルナンド・レオン・デ・アラノアの「El buen patrón」は残念でした。その代わりと言ってはなんですが、本作で主役を演じたハビエル・バルデムが、アーロン・ソーキンの『愛すべき夫妻の秘密』(Being the Ricardos)で主演男優賞にノミネートされた。ノミネーション発表をペネロペ・クルスとソファに座って待っていたというご両人、同時ノミネートに感無量だった由。
★バルデムのノミネーションは4回目、うち2回目のコーエン兄弟の『ノーカントリー』(07)で可笑しなオカッパ頭で登場して助演男優賞を受賞している。因みに主演男優賞はキューバの小説家レイナルド・アレナスの伝記映画『夜になるまえに』(00)、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥの『BIUTIFUL ビューティフル』(10)、今回の『愛すべき夫妻の秘密』は『アイ・ラブ・ルーシー』で主人公のリカード夫妻を演じたルシル・ボールとデジ・アーナズの関係を描いた伝記映画、実生活でも二人は結婚していた。ルシル役のニコール・キッドマンも主演女優賞にノミネートされ、彼女のそっくりさんぶりが話題になっている。本作はプライムビデオで昨年12月21日より配信されている。

(デジ・アーナズに扮したハビエル・バルデム、フレームから)

★ペネロペ・クルスは、アルモドバルの「Madres paralelas」(「パラレル・マザーズ」)のシングル・マザー役で主演女優賞にノミネートされた。スペイン語映画でのノミネートは2回目。バルデムと同じ4回目のノミネートになるが、2006年同監督の『ボルベール〈帰郷〉』で主演女優賞ノミネート、2回目はウディ・アレンの『それでも恋するバルセロナ』(08)で助演女優賞を受賞、ロブ・マーシャルの『NINE』(09)で助演女優賞ノミネート、今回が4回目である。Netflix 配信の『ロスト・ドーター』のオリビア・コールマン、『スペンサー ダイアナの決意』のクリステン・スチュワート、ニコール・キッドマンなどと競うことになりました。


(ペネロペ・クルス、「Madres paralelas」から)
★アルモドバルの『パラレル・マザーズ』の音楽を手掛けた、アルベルト・イグレシアスが作曲部門にノミネートされた。彼も今回が4回目のノミネート、まだ受賞はありません。ジョン・ル・カレの同名小説をブラジルのフェルナンド・メイレレスが監督した『ナイロビの蜂』(05)、マーク・フォースターの『君のためなら千回でも』(07)、トーマス・アルフレッドソンのスパイ映画『裏切りのサーカス』(11)の3回です。国内ではゴヤ胸像のコレクターといわれるが、それに止まらず国際的に活躍していることが分かる。今年のフェロス賞で音楽賞を受賞したばかりです。

(アルベルト・イグレシアス、フェロス賞2022のガラから)
★もう一人の短編アニメーション部門に「The Windshield Wiper」(14分、スペイン=米国合作)がノミネートされたアルベルト・ミエルゴは、アートアニメの世界では知る人ぞ知る存在。もしかしたら賞に一番近いかもしれない。愛を探す男の話です。本作はカンヌ映画祭と併催される「監督週間」で7月に上映されている。スペインの監督だが言語は英語とルーマニア語ということです。


(「The Windshield Wiper」のフレームとポスター)
★ティム・ミラーとデヴィッド・フィンチャーが2019年に製作したアニメ・アンソロジー「Love, Death & Robots」(『ラブ、デス & ロボット』全18話)の第3話「The Witness」(『目撃者』12分)を監督して2019年のプライムタイム・エミー賞をグループで受賞している。本シリーズはNetflix オリジナル作品として配信されている。殺人を目撃してしまったせいで、犯人から追われる身になった女性の話。他に2012年から開始されたTVシリーズ「Tron: Uprising」(「トロン:ライジング」)のアート監督を務め、「The Stranger」(第13話、23分)で2013年に同賞を受賞している。両作とも「アニメーションのアカデミー賞」といわれるアニー賞のプロダクション・デザイン部門で受賞している。


(「トロン:ライジング」のフレームとポスター)

(アルベルト・ミエルゴ、エミー賞2013)


(『目撃者』のフレームとポスター)
セシリア・バルトロメ*第9回フェロス栄誉賞受賞 ― 2022年02月09日 16:17
反フランコを貫く勇敢な映像作家セシリア・バルトロメ

(フェロス栄誉賞のポスターを背にしたセシリア・バルトロメ)
★第9回フェロス栄誉賞を受賞したセシリア・マルガリタ・バルトロメ・ピナは、1940年9月10日バレンシア州のアリカンテ生れ、映画監督、脚本家、製作者。7歳のとき父親が当時のスペイン植民地で映画検閲の責任者に任命されて以来、家族と赤道ギニアのフェルナンド・ブー島に移住した。当地の演劇学校で演技と演出を学び、10代後半には先住民高等学校の生徒たちを指導した。20歳のときマドリードに引っ越すまで暮らしている。数年後のインタビューで「私は適応するのに時間がかかった途方もない不道徳と、間違いを認めようとしないマチスモに出会った」と語っている。後にここの体験をテーマにした長編「Lejos de África」(96)を撮ることになる。

(自らの少女時代の体験を織り込んだ長編「Lejos de África」のポスター)

(受賞を前にしたセシリア・バルトロメ、マドリードの8 2/1書店にて)
★スペインに戻ると、大学で工学と経済科学を専攻したが断念、1947年に開校したマドリードの国立映画研究所*に入学して、本格的に映画を学ぶことにした。1969年、今は亡きピラール・ミロ、現役で活躍するホセフィーナ・モリーナと共に卒業、本校最初の女性シネアストの一人になった。既に「La noche del doctor Valdés」など数編の短編を送り出しており、1970年の離婚をテーマにしたミュージカル「Margarita y el lobo」(モノクロ、45分)が卒業制作作品。本作はフランコ政権を挑発しているということで検閲に引っかかり、民主主義の到来まで国外で秘密裏に上映されていた。バルトロメの名前はブラックリスト入りしてしまい、卒業後は宣伝や産業ドキュメンタリーしか撮ることが出来なくなった。他の監督のプロジェクトでも背後に彼女の影を見つけると検閲が通らず、長いブランクを余儀なくされた。セクシュアリティや離婚、中絶問題、女性の自由などは検閲を通らない時代であった。
*国立映画研究所は、イタリア映画のネオレアリズモの流れをくむ新しい考え方をもとに設立され、内容の乏しい映画を拒否した。スペイン映画史に名を残したフアン・アントニオ・バルデム、ガルシア・ベルランガなどが第1期生卒業生、後マドリードのコンプルテンセ大学に発展解消された映画研究所。

(35ミリで「La noche del doctor Valdés」を撮影するバルトロメ、1964年)

(中編ミュージカル「Margarita y el lobo」のポスター)
★フランコ没後の民主主義移行期に最初に撮った、1977年の「Vámos, Bárbara」は、マーティン・スコセッシの『アリスの恋』(74)に触発された作品、スペイン最初のフェミニスト映画といわれる。エンディングを変更して、スペインのアリスは白馬に乗った王子様を夢見ない、自立した自身を見つける女性として描いている。主役アナをアンパロ・ソレル・レアルが扮し、バルバラは12歳になる一人娘の名前。撮影監督はパートナーだったホセ・ルイス・アルカイネが手掛けている。

(アンパロ・ソレル・レアルと娘バルバラ役のクリスティナ・アルバレス)
★1979年から翌年にかけて、兄ホセ・フアン・バルトロメと移行期のスペインを描いたドキュメンタリー2編「Después de.....」(No se os puede dejar solos / Atado y bien atado)の撮影に取りかかり完成させる。しかし独裁政権の終りのスペインの変化を批判的に描いているため公開が遅れ、1981年のクーデタ未遂事件を経て、3年後の1983年、ピラール・ミロが映画総局長に就任したことで紆余曲折があったにしろ陽の目を見ることができた。検閲は1976年4月全廃されたが表現の自由は直ぐには手に入らなかった。ミロ監督は1984年の「第1回スペイン映画祭」の企画者で、団長としてフアン・アントニオ・バルデムやカルロス・サウラ以下と一緒に来日している。心臓にトラブルを抱えており、撮影中に心臓発作で急死している。

(ドキュメンタリー「Después de.....」のポスター)

(ホセ・アントニオ・バルトロメとセシリア・バルトロメ)
★1996年、脚本を兄ホセ・フアン・バルトロメと共同執筆した長編「Lejos de África」を撮る。キューバとの合作で、キューバで撮影した。アフリカにおけるスペイン植民地主義に関する最初の映画といわれ、二十歳まで暮らしていた赤道ギニアの体験を織り込んでいる。白人と黒人という2人の少女の友情と冒険という単純なストーリーのなかに、少女たちの無垢な目を通して、異文化間の対立、人種差別、政治情勢の推移を描いている。

(2人の少女を演じたニーニャ、フレームから)
★2005年、放映時間には通りに人影が途絶えたと言われた長寿TVシリーズ「Cuéntame cómo pasó」(01~)のドキュメンタリー編「Especial Carrero Blanco: el comienzo del fin」を撮る。フランコ総統の右腕であった軍人ブランコ首相の生涯と暗殺事件を精査、分析したドキュメンタリーである。これが最後の作品となっている。女性映画製作者協会 CIMA の名誉会員。
*映画祭の受賞歴、映画賞は以下の通り:
2009年、アリカンテ大学と女性学センターが共催した回顧展が企画された。
2012年、第50回ヒホン映画祭で ”Mujeres de cine” 賞を受賞。
2014年、美術功労賞〈金のメダル〉受賞、スペイン文化省が選考母体。
2018年、バレンシア視聴覚アカデミー賞受賞。
2019年、スペイン映画アカデミー主催の「マエストロ」プログラムが企画される。
2021年、第4回女性映画祭のキャリア賞受賞。
2022年、フェロス栄誉賞受賞

(フェリペ6世、レティシア王妃、国王夫妻列席のもと授与された〈金のメダル〉
授与式は2015年2月)

(盟友ホセフィーナ・モリーナから〈金のメダル〉を手渡される)
第9回フェロス賞2022*受賞結果発表 ― 2022年02月05日 16:49
作品賞はコメディ部門「El buen patrón」とドラマ部門「Maixabel」が受賞

★去る1月30日、第9回フェロス賞2022の授賞式がマドリードからサラゴサ・オーディトリアムに舞台を移して開催されました。ゴヤ賞前哨戦という立ち位置ですが、結果は以下の通りになりました。作品賞は下馬評通り「Maixabel」(2賞)と「El buen patrón」(3賞)になりましたが、監督賞が当ブログではノーマークだったロドリゴ・コルテスの「El amor en su lugar」となりました。第二次世界大戦中の劇場への個人的なオマージュということです。コルテス監督といえばその斬新な切り口でファンを驚かせた「Buried」(10、英語・アラビア語)の監督、国際的に大ヒットして、我が国でも『リミット』のタイトルで公開されました。
★アルモドバル監督も主演のペネロペ・クルスも赤絨毯を踏みませんでしたが、「Madres paralelas」は、アイタナ・サンチェス=ヒホンが助演女優賞、アルベルト・イグレシアスがオリジナル音楽賞、ハビエル・ハエンのポスター賞の3賞をゲットしました。TVシリーズ(ドラマ部門)のアナ・ルハスとクラウディア・コスタフレダの「Cardo」受賞は番狂わせとか。主役を演じたアナ・ルハスは主演女優賞も受賞しました。カテゴリーの数も種類もゴヤ賞とは異なり、こちらのほうが視聴者の目線に近いかもしれない。コメディ部門は2作しか紹介できませんでしたが、スペイン人のコメディ好きは相変わらずです。

(PCR 検査をする、総合司会者のナチョ・ビガロンド監督とコメディアンのパウラ・プア)
★昨年新設された二つの特別賞(フィクション&ノンフィクション)がFeroz Arrebato 賞となり、「激しい爆発」という意味なので、一応「フェロス爆発賞」と訳しておきます。今回はドラマ部門の作品賞にもノミネートされたチェマ・ガルシア・イバラのロカルノ映画祭特別賞受賞作SFコメディと、アドリアン・シルベストレのトランスジェンダーの心の傷を描いたドキュメンタリーが受賞しました。国内ネットワークでは放映されませんでしたが、YuoTubeで楽しめたようです。降格されてもフェロス賞は生き残る必要があるということです。以下が受賞結果、脚本賞以下は受賞者のみをアップ、ゴチック体が受賞者、*印は当ブログで作品紹介をしたものです。
*第9回フェロス賞2022受賞結果*
◎作品賞(ドラマ部門)
Espíritu sagrado 監督チェマ・ガルシア・イバラ
Libertad クララ・ロケ 邦題『リベルタード』 *
Madres paralelas ペドロ・アルモドバル *
Tres フアンホ・ヒメネス・ペーニャ&ペレ・アルタミラ
Maixabel イシアル・ボリャイン *
*製作者はコルド・スアスア、フアン・モレノ、ギジェルモ・セムペレ。ウルコ・オラサバルの助演男優賞の2冠に終わりました。オリジナル音楽賞ダブル・ノミネートのアルベルト・イグレシアスはアルモドバル映画で受賞、フェロス賞女優賞受賞者のブランカ・ポルティーリョなどは残念でした。

(イシアル・ボリャイン)

(左側が製作者コルド・スアスア)
◎作品賞(コメディ部門)
El cover 監督セクン・デ・ラ・ロサ *
Chavalas カロル・ロドリゲス・コラス
Seis días corrientes ネウス・バリュス
Un efecto óptico フアン・カベスタニー
El buen patrón フェルナンド・レオン・デ・アラノア *
*製作はレオン・デ・アラノア、ジャウマ・ロウレス、ハビエル・メンデス・ソリとの共同製作、フェロス賞受賞は初めて。

(左から2人め、ハビエル・バルデム、レオン・デ・アラノア監督、セルソ・ブガージョ、
アルムデナ・アモール)
◎監督賞
ペドロ・アルモドバル Madres paralelas
イシアル・ボリャイン Maixabel
フェルナンド・レオン・デ・アラノア El buen patrón
クララ・ロケ Libertad
ロドリゴ・コルテス El amor en su lugar

(第5作目で受賞者となったロドリゴ・コルテス)
◎主演男優賞
ロベルト・アラモ Josefina *
リカルド・ゴメス El sustituto
エドゥアルド・フェルナンデス Mediterráneo *
ルイス・トサール Maixabel
ハビエル・バルデム El buen patrón
*フォルケ賞は受賞がほぼ決定していましたが欠席、今度はさすがに出席しました。フェロス賞は『誰もがそれを知っている』(18)でノミネートされただけで今回が初受賞です。

(下馬評通りの受賞者ハビエル・バルデム)
◎主演女優賞
タマラ・カセリャス Ama *
ペネロペ・クルス Madres paralelas
マルタ・ニエト Tres
ブランカ・ポルティーリョ Maixabel
ペトラ・マルティネス La vida era eso『マリアの旅』
(ダビ・マルティン・デ・ロス・サントス) *
*60年のキャリアを持つペトラに今宵もっとも大きな拍手喝采が送られました。「私の同僚の女優たちはみんな素晴らしいのです。しかし最高の女優は私です」と、お茶目なスピーチをして満場を沸かせたそうです。

(77歳とは思えない受賞者ペトラ・マルティネス)
◎助演男優賞
セルソ・ブガージョ El buen patrón
ペレ・ポンセ El sustituto
チェチュ・サルガド Las leyes de la frontera *
マノロ・ソロ El buen patrón
ウルコ・オラサバル Maixabel

(ウルコ・オラサバル)
◎助演女優賞
アルムデナ・アモール El buen patrón
アンナ・カスティーリョ La vida era eso
ミレナ・スミット Madres paralelas
カロリナ・ジュステ Chavalas (カロル・ロドリゲス・コラス)
アイタナ・サンチェス=ヒホン Madres paralelas

(大人の気品あふれる受賞者アイタナ)
◎脚本賞
フェルナンド・レオン・デ・アラノア El buen patrón

(2冠達成のフェルナンド・レオン・デ・アラノア)
◎オリジナル音楽賞
アルベルト・イグレシアス Madres paralelas

(トロフィーを手にしたアルベルト・イグレシアス)
◎ポスター賞
ハビエル・ハエン Madres paralelas

(ハビエル・ハエン)
◎予告編賞
ミゲル・アンヘル・トゥルドゥ La abuela パコ・プラサ監督 *
*2015年の 『マジカル・ガール』 ノミネート以来7回目、2019年の 『シークレット・ボイス』、2020年のパコ・カベサスの 「Adiós」 と2回受賞しているベテラン、今回の受賞で3勝目となった。

(ミゲル・アンヘル・トゥルドゥ)
◎TVシリーズ作品賞(ドラマ部門)
Cardo 創作者アナ・ルハス&クラウディア・コスタフレダ
製作Suma Latina(ハビエル・カルボ&ハビエル・アンブロッシ)/ Atresmedia Television
*プロデューサーのハビエル・アンブロッシはステージで「若い才能に声をかけたら、彼らに任せてください。彼ら自身に物語を語らせてください」と懇願しました。ロス・ハビスは『ホーリー・キャンプ!』を共同で監督しました。1話25分のミニシリーズ(全6話)

(アナ・ルハス、クラウディア・コスタフレダ)


(80年代ファッションを着たハビエル・カルボとハビエル・アンブロッシ)
◎TVシリーズ作品賞(コメディ部門)
Venga Juan 創作者ディエゴ・サン・ホセ 製作TNT España / 100 Bala
*昨年の第2シーズン「Vamos Juan」に続いて受賞した、政治家フアン・カラスコを主役にした政治コメディ。長寿TVシリーズの第3シーズン。脚本家ディエゴ・サン・ホセは、「オーチョ・アペジードス」シリーズを手掛けたベテランです。

(中央がディエゴ・サン・ホセ)
◎TVシリーズ主演男優賞
ハビエル・カマラ Venga Juan
*主役の政治家フアン・カラスコに扮して、昨年逃したトロフィーを手にした。今回は相棒のマリア・プハルテも助演女優賞を受賞した。


(昨年トロフィーを逃したハビエル・カマラ、マリア・プハルテ)
◎TVシリーズ主演女優賞
アナ・ルハス Cardo

(デュオールのドレスで登壇したアナ・ルハス)
◎TVシリーズ助演男優賞
エンリク・アウケル Vida perfecta (監督レティシア・ドレラ)
*ゴヤ賞2020新人男優賞受賞から注目されている若手俳優、フェロス賞2020に続く2度目の受賞。目が離せなくなった個性派です。

(1970年代に流行した幅広のパンタロン姿で登壇した)
◎TVシリーズ助演女優賞
マリア・プハルテ Venga Juan

(マリア・プハルテ)
◎フェロス爆発賞賞(フィクション部門)
Espíritu sagrado 監督チェマ・ガルシア・イバラ

(チェマ・ガルシア・イバラ)
◎フェロス爆発賞(ノンフィクション部門)
Sedimentos (ドキュメンタリー) 監督アドリアン・シルベストレ
*6人のトランスジェンダーの女性の人生について欄外から描いたドキュメンタリー。タイトルは心の傷、わだかまりの意。

(左側、アドリアン・シルベストレ)
◎フェロス栄誉賞
セシリア・バルトロメCecilia Bartolomé(1940年アリカンテ生れ)
*監督、脚本家、プロデューサーとして、スペインの女性たちに課せられたタブーに挑戦した映画業界のパイオニア的存在。鬼籍入りしているピラール・ミロや未だ現役の先輩ジョセフィナ・モリーナ監督などと協力して、女性シネアストの地位向上に尽くしている。別途キャリア紹介を予定しています。コチラ⇒2022年02月09日


(多くの女性シネアストたちが登壇して祝福しました)
★以下は話題を呼んだレッドカーペット上のファッション・ショー、若手の男性たちのルックスは、黒のジャケットを脱ぎ捨てて以前とは大分変わりました。女性の人気ファッションは相変わらずモノクロが多かった印象です。

(毎回ベストドレッサーに選ばれるクララ・ラゴ)

(TVシリーズ「La fortuna」で主演女優賞ノミネートのアナ・マリア・ポルボロサ)

(「Madres paralelas」で助演女優賞ノミネートのミレナ・スミット)

(TVシリーズの助演男優賞プレゼンターのインマ・クエスタ)

(カルメン・アルファト)

(「Chavalas」で助演女優賞ノミネートのカロリナ・ジュステ)

(「Tres」で主演女優賞ノミネートのマルタ・ニエト)

(『マリアの旅』で助演女優賞ノミネートのアンナ・カスティーリョ)

(TVシリーズ『ペーパー・ハウス』で助演女優賞ノミネートのナイワ・ニムリ)

(TVシリーズ「Hierro」で主演女優賞ノミネートのカンデラ・ペーニャ)

(「El buen patrón」で助演女優賞ノミネートのアルムデナ・アモール)

(「Vida perfecta」の監督レティシア・ドレラ)

(エレガントなAICA会長マリア・ゲーラ、ポデモス統一のヨランダ・ディアス)
★アルモドバルは国内では振るいませんでしたが、イギリスのアカデミー賞と言われるバフタ賞 BAFTA(英語以外の映画部門)にノミネートされ、濱口竜介、セリーヌ・シアマ、パオロ・ソレンティーノなどと競います。
イサキ・ラクエスタの新作は西仏合作映画*ベルリン映画祭2022 ― 2022年01月31日 14:48
2015年パリ同時多発テロ〈バタクラン劇場〉襲撃事件の生存者の実話

★イサキ・ラクエスタの新作「Un año, una noche」は、スペインとフランスの合作、両国の若手演技派が集合しました。2015年11月13日の夜、パリ11区にある伝説的なコンサートホール「バタクラン劇場」で起きたISILメンバーによるパリ同時多発テロ事件の一つの実話がベースになっています。事件当夜の生存者ラモン・ゴンサレスの ”Paz, amor y Death Metal” の映画化。襲撃された6ヵ所の死亡者130名のうちバタクラン劇場だけで89名、負傷者300名という最も多い犠牲者を出している。既に6年以上の歳月が流れましたが今でも記憶に残るテロ事件でした。原作者のラモン・ゴンサレスには『BPM ビート・パー・ミニット』(17)のアルゼンチン出身だがフランスで活躍するナウエル・ぺレス・ビスカヤート、そのガールフレンドのセリーヌにフランスの『燃ゆる女の肖像』(19)で主役の画家を演じたノエミ・メルランが扮します。両作ともカンヌFFを沸かせた作品でした。


(撮影中のノエミ・メルランとナウエル・ぺレス・ビスカヤート)
★イサキ・ラクエスタ(ジローナ1975)については、前作『二筋の川』(19、Entre dos aguas)他でご紹介しております。邦題はスペイン映画祭2019(インスティトゥト・セルバンテス東京、6月25日~7月2日)で上映されたときのものです。本作の脚本家で製作者のイサ・カンポと二人のあいだの愛娘揃ってオープニングに来日、Q&Aに参加いたしました。
*『二筋の川』の監督&作品紹介は、コチラ⇒2018年07月25日/2019年07月06日
*『記憶の行方』作品紹介は、コチラ⇒2016年04月29日

(イサキ・ラクエスタとイサ・カンポ、マラが映画祭2016、フォトコール)
「Un año, una noche」(One Year, One Night)
製作:Bambú Producciones / Mr. Fields and Friends / Noodles Production /
La Termita Films
監督:イサキ・ラクエスタ
脚本:フラン・アラウホ、イサ・カンポ、イサキ・ラクエスタ
原作:ラモン・ゴンサレスの ”Paz, amor y Death Metal”
音楽:ラウル・フェルナンデス・ミロ
撮影:イリーナ・リュプチャンスキ
編集:セルジ・ディエス、フェルナンド・フランコ
キャスティング:ピエール・フランソワ・クレアンシエル、ロサ・エステベス
美術:ミケル・フランシスコ、セバスティアン・ゴンデク
衣装デザイン:Alexia Crisp-Jones
メイクアップ:アルマ・カザル、ミロウ・サナー
特殊効果:The Action Unit
製作者:ディエゴ・ポロ、ライア・コル、モニカ・タベルナ
データ:製作国スペイン=フランス、フランス語、2022年、ドラマ、言語フランス語、撮影地バルセロナ、配給Studio Canal、Eurimages 他から資金援助を受けて製作された。
映画祭・受賞歴:第72回ベルリン映画祭2022コンペティション部門
キャスト:ナウエル・ぺレス・ビスカヤート(ラモン)、ノエミ・メルラン(セリーヌ)、キム・グティエレス、アルバ・ギレラ(ルーシー)、ナタリア・デ・モリーナ、C.タンガナ、Miko Jarry、マイク・F. パンフィール(カリム)、ホセ・ハビエル・ドミンゲス(友人)、ジャン=ルイ・ティルバーグ(教育家)、アレックス・モリュー・ガリガ、エドワード・リン(バルのオーナー)、イゴール・マムレンコフ、他
ストーリー:2015年11月13日の夜、パリ11区にある伝説的なコンサートホール「バタクラン劇場」に、武器を携えたISLLジハーディストのテロリスト4人が突然襲撃した。6ヵ所のパリ同時多発テロのうち最大の犠牲者89名を出した。スペイン人のラモン、フランス人のガールフレンドのセリーヌは、生存者としてテロ襲撃のトラウマと闘う人生を生きることになる。ラモン・ゴンサレスの ”Paz, amor y Death Metal” の映画化。Death Metalは当夜出演していたアメリカのロックバンド〈イーグルス・オブ・デス・メタル〉から採られている。

(テロ生存者のラモンとセリーヌ、フレームから)
バタクラン劇場への悲劇的な襲撃からトラウマに直面したカップル
★ラクエスタ監督は、バタクラン劇場への悲劇的な襲撃から1年後の2016年、倫理的な問題、人間関係、トラウマに直面しなければならなかった若いカップルをフォローする本作に取り組んだ。上記のように出演者はスペイン、フランスからキャスティングされている。
★主演のナウエル・ぺレス・ビスカヤートはフランスで活躍しているが、1986年ブエノスアイレス生れ、舞台と映画俳優、国籍はアルゼンチン。映画デビューは2004年から、エドゥアルド・ラスポの「Tatuado」で2005年銀のコンドル新人賞を受賞、ブノワ・ジャコの『肉体の森』(10)出演を機に、その後フランス語を学ぶため3ヵ月パリに留学した。アルゼンチンに戻り、ルイス・オルテガの「Lulú」(14)で、銀のコンドル主演男優賞にノミネートされている。しかし国際的な成功は、カンヌ映画祭2017出品のロバン・カンピヨの『BPM ビート・パー・ミニット』出演でした。本作はグランプリ、国際批評家連盟賞、クィア・パルム他を受賞、従ってカンヌの1作品1賞のルールにより、最優秀男優賞を逃しました。しかし2018年にはセザール新人賞、リュミエール男優賞などを受賞、ヨーロッパ映画賞にもノミネートされ、国際的な名声を手に入れた。

(日本語版のチラシから)
★ノエミ・メルランは、1988年パリ生れ、女優、監督、脚本家。モデルとしてスタートしたが、パリの演劇学校で学んでいる。2011年より女優として活躍しているが、監督として2本の短編を撮った後、既に長編映画にデビューして評価を得ている。ルー・ジュネの『不実な女と官能詩人』(19)、セリーヌ・シアマ監督の『燃ゆる女の肖像』(19)の画家役で女性映画批評家協会WFCC賞、リュミエール女優賞ほかを受賞、ノミネート多数の話題作。長編監督デビュー作「Mi iubita, mon amour」は自作自演、カンヌ映画祭2021でゴールデンカメラにノミネート、サンセバスチャン映画祭のサバルテギ-タバカレラ部門でも上映されている。

(ノエミ・メルラン、『燃ゆる女の肖像』から)
★スペインサイドのキム・グティエレス、ナタリア・デ・モリーナについては度々登場させているので割愛しますが、ミュージシャンのC. タンガナ(本名アントン・アルバレス・アルファロ1990)が俳優デビューを飾ったことが話題になっています。

(C. タンガナ)
★共同脚本家のフラン・アラウホは製作者、脚本家、監督。イサキ・ラクエスタ&イサ・カンポの『記憶の行方』でガウディ賞(作品・脚本)、続く『二筋の川』でも作品賞を受賞している。TVシリーズのヒット作を数多く手掛けており、なかでイサベル・ペーニャ&ロドリゴ・ソロゴジェンの「Antidisturbios」(20)でイリス賞(プロダクション)とペペ・コイラの「Hierro」(19)で脚本賞、他にメストレ・マテオ賞(脚本)を共同で受賞している。
★音楽は『二筋の川』を手掛けたラウル・フェルナンデス・ミロ、撮影監督はフランスの名匠アルノー・デプレシャンの青春映画『あの頃エッフェル塔の下で』(15)のイリーナ・リュプチャンスキ、フィルム編集のセルジ・ディエスは『二筋の川』でガウディ賞を受賞、もう一人のフェルナンド・フランコはデビュー作「La herida」(13)がサンセバスチャン映画祭で審査員特別賞を受賞、翌年のゴヤ賞2014で新人監督賞やフォルケ賞作品賞を受賞するなどしている。スタッフは西仏合作らしく両国の実力者が支えている。
並行輸入品 【ミニサイズ】 エスティローダー ESTEE LAUDER ダブルウェアステイインプレイスメークアップ #17/1W1 / 7ml [051987]【メール便可】 ― 2022年01月27日 11:56
「死にかけている」 家族経営の農業――舞台はリェイダの桃農園

★第72回ベルリン映画祭2022(2月10日~20日)コンペティション部門にノミネートされたカルラ・シモンの新作「Alcarras」は、アマチュアを起用しての今や瀕死の状態にある小さな家族経営の桃農園が舞台です。本作はベルリン映画祭2019開催中に行われた第16回ベルリン共同製作マーケットにおいて、アバロンPC がEurimages Co-production Development 賞(2万ユーロ)を受賞しておりましたので、完成すればコンペティションに選ばれる筋道はたっておりました。受賞のニュースについては既に記事をアップしております。共同製作はイタリアのKino Produczioni で、2018年のトリノ・フィルムラボで賞金8000ユーロを獲得しています。更にカンヌのシネフォンダシオン・レジデンス2019で特別メンションを受賞するなど国際的にも期待が高かったようです。新型コロナウイリス感染拡大によるパンデミックで遅れに遅れましたが、やっと姿を現しました。
*ベルリン共同製作マーケット2019の記事は、コチラ⇒2019年02月24日

(シモン監督と製作者マリア・サモラ、ベルリンFF 2019)
「Alcarras」
製作:Avalon Productora Cinematografica / Vilaut Films / Kino Produczioni / ICEC /
ICAA / TV3 / RTVE / Movistar+ / リェイダ県から15万ユーロの資金提供
監督:カルラ・シモン
脚本:カルラ・シモン、アルナウ・ピラロ
撮影:ダニエラ・カジアスCajías
キャスティング:ミレイア・フアレス
美術:モニカ・ベルヌイ
セット:マルタ・バサコ
衣装デザイン:アンナ・アギラ
プロダクション・マネージメント:ベルナト・リョンチ
音響:エバ・バリニョ
特殊効果:エリック・ニエト
製作者:マリア・サモラ、ステファン・シュミッツ、ジョヴァンニ・ポンピリ、(ライン)エリサ・シルベント、(アシスタント)アルフォンソ・ビリャヌエバ・ガルシア、他
データ:製作国スペイン=イタリア、カタルーニャ語、2022年、ドラマ、120分、撮影地カタルーニャ州リェイダ(レリダ)県のアルカラス、Sucs ほか数ヵ所、期間2021年6月1日~7月末まで、配給フランスMK2
映画祭・受賞歴:第72回ベルリン映画祭コンペティション部門ノミネート
キャスト:ベルタ・ピポ、ジョセプ・アバド、アルベルト・ボッシュ、カルレス・カボス、Ainet Jounou(アイネト・ジョウノウ)、アンナ・オティン、ジョルディ・プジョル・ドルセト、他アルカラスの農業者やエキストラ多数
ストーリー:長年にわたって桃農園で働いていた一族ソレ家の物語。土地のオーナーが亡くなったことで一族は大きな転機をむかえる。後継者の息子が広大な土地にソーラーパネルを設置するため、桃の木を根こそぎにしたいと思っているからだ。監督の養母の家族が暮らしている〈アルカラス〉をタイトルにした本作は、属している土地と場所についての物語だが、永続的な世代間の衝突、古い伝統の克服、危機に際しての家族の団結の重要性についてのドラマでもある。

(収穫した桃を食べる出演者やスタッフ、2021年夏撮影)
深刻な家族の危機を生み出すジレンマ
★『悲しみに、こんにちは』は監督の自伝的要素が色濃いドラマでしたが、新作も養母の家族が住んでいるアルカラスをタイトルにした、多分に自伝的な要素を含んでいるようです。2020年クランクインが予定されていましたが、新型コロナウイリスのパンデミックで、そもそものキャスティングができず、延期と再開の繰り返しでした。結局1年遅れの2021年の6月1日に撮影が開始されました。というのも完熟した桃が樹にぶら下がっている必要があり、桃の完熟期である夏しか撮影は考えられなかったからです。ビクトル・エリセのドキュメンタリー『パルメロの陽光』(92)の撮影風景が思い起こされます。
★監督は「小さい家族農業は死にかけている」とヨーロッパプレスに語っていますが、土地所有者の後継者である息子が農業部門への投資より、もっと効率の良い太陽光発電事業に変えたいというのも決して非難できません。昨今の地球温暖化対策として再生可能エネルギー事業への投資は悪いことではないはずです。「非常に難しい仕事」と監督も述懐しています。ソレ家の長老である祖父が突然声を失くしてしまうようで、イシアル・ボリャインの『オリーブの樹は呼んでいる』(16、ラテンビート上映)の祖父を思い出してしまいましたが、こちらの舞台はバレンシア州のカステリョンでした。


(桃農園で撮影中のシモン監督)
★デビュー作と大きく異なるのは、プロの俳優を起用しなかったことです。監督は「プロではない俳優と一緒に仕事をするのが好き」と語っていますが、監督の母方の祖父や叔父、2人の従兄たちの協力もあったようです。「彼らは自然や経済をよく知っている人々なのです」と、彼らから多くのことを学んだと語っています。「私の祖父と二人の従兄は、アルカラスで桃農園を経営しています。ここは私の第二の故郷のようなもので、クリスマス、夏のバカンスには必ず訪れています。家族は約10年ほど前に80パーセントの土地を失いました」とトリノ・フィルムラボで製作の意図を語っていた。先進国の農業は、どこでも転換期に差しかかっている。

(言葉を失ってしまう祖父と孫娘)
★監督紹介:1986年バルセロナ生れ、監督、脚本家、フィルム編集、製作者。バルセロナ自治大学オーディオビジュアル・コミュニケーション科卒、その後カリフォルニア大学で脚本と映画演出を学び、ロンドン・フィルム学校に入学、在学中に製作したドキュメンタリーやドラマの短編が評価された。以下にフィルモグラフィーを列挙しておきます。

(デビュー作がゴヤ賞2018監督賞を受賞したカルラ・シモン)
2009年「Women」ドキュメンタリー短編
2010年「Lovers」短編
2012年「Born Positive」ドキュメンタリー短編
2013年「Lipstick」短編
2015年「Las pequeñas cosas」短編
2016年「Llacunes」短編
2017年「Estiu 1993 / Verano 1993」長編デビュー作『悲しみに、こんにちは』
2019年「Después también」短編
2020年「Correspondencia」ドキュメンタリー短編
2022年「Alcarras」長編第2作目
★ドキュメンタリー短編「Correspondencia」は、チリの若手監督ドミンガ・ソトマヨル・カスティリョ(サンティアゴ1985)とのビデオ・レターです。アバロン、TV3製作、言語はスペイン語とカタルーニャ語、モノクロ、19分、2020年ニューヨークFFほか、サンセバスチャンFFサバルテギ-タバカレラ部門、ウィーンFF、国際女性監督FFなどで上映されている。アルゼンチンのマル・デル・プラタ映画祭2020ではラテンアメリカ短編賞を受賞している。シモン監督と同世代のドミンガ・ソトマヨルは、2012年のデビュー作『木曜から日曜まで』が東京国際FFで紹介され、そのレベルの高さに驚かされた。第2作目の「Mar」がベルリンFF2015フォーラム部門にノミネートされた折りに紹介記事をアップしております。
*ドミンガ・ソトマヨル・カスティリョ紹介記事は、コチラ⇒2015年03月04日

(「Correspondencia」のポスター)
カルラ・シモン、イサキ・ラクエスタが金熊を競う*ベルリン映画祭2022 ― 2022年01月23日 16:11
コンペティション部門に2作ノミネートは初めて!

★1月19日、第72回ベルリン映画祭2022のノミネーション発表がありました(2月10日~20日)。カルラ・シモンの第2作め「Alcarras」、イサキ・ラクエスタの第7作め「Un año, una noche」が揃ってセクション・オフィシアルに選ばれました。もともとスペイン映画はベルリンFFを目指している監督が多くないこともあって、同時に2作はニュースです。ノミネーションは2019年のイサベル・コイシェの『エリサ&マルセラ』以来です。コイシェは『死ぬまでにしたい10のこと』(03)、「Nadie quiere la noche」(15)と最多の3回、公開されたラモン・サラサールの『靴に恋して』(02)、アレックス・デ・ラ・イグレシアの『クローズド・バル』(17)などが記憶に残ります。
★シモンは自伝的なデビュー作「Estiu 1993」(17、『悲しみに、こんにちは』)に続いてのノミネートですが、第1作はコンペではなくジェネレーション K-Plus 部門、グランプリと新人監督賞を受賞するという幸運に浴しました。マラガ映画祭では作品賞を含む5賞、2018年には3個のゴヤ賞、5個のガウディ賞、4個のフェロス賞と続き、国際映画祭の受賞は数えきれず、スペイン映画界に旋風を巻き起こしました。
*『悲しみに、こんにちは』の作品紹介は、コチラ⇒2017年02月22日

(候補作「Alcarras」から)
★一方、来日経験もある「Entre dos aguas」(18、『二筋の川』)のベテラン監督イサキ・ラクエスタは、ベルリンは今回が初めて、ラクエスタといえばゴヤ賞には恵まれませんが、金貝賞3個とサンセバスチャン映画祭の申し子です。新作には『ビート・パー・ミニット』主演のナウエル・ぺレーズ・ビスカヤートを起用しています。いずれ両作とも作品紹介を予定しています。
*『二筋の川』の作品紹介は、コチラ⇒2019年07月06日

(候補作「Un año, una noche」から)
★他のノミネーション18作には、オープニング作品のフランソワ・オゾンの「Peter von Kant」や、イタリアのパオロ・タヴィアーニの「Leonora addio」、ホン・サンスの「The Novelist’s Film」、ボリビア出身だが20年前からメキシコに移住して、フィルム編集や映画製作をしているナタリア・ロペス・ガリャルドのデビュー作「Robe of Gems」(メキシコ、アルゼンチン、米国合作)が、意外な結果を生むかもしれない。目下詳細が掴めませんが麻薬がらみの3人の女性の物語のようです。その他カナダやオーストリアの『パラダイス』三部作のウルリヒ・ザイドルなど鬼才監督の新作が金熊賞を競います。ほかパノラマ部門にもスペイン映画選ばれている。

(ナタリア・ロペスの「Robe of Gems」から)
★金熊栄誉賞にはフランスのイザベル・ユペールがアナウンスされ、授与式は2月15日です。

(イザベル・ユペール)
心理的スペイン・ホラー『荒れ野』*ネットフリックス ― 2022年01月20日 16:01
評価が分かれるダビ・カサデムントのデビュー作『荒れ野』

★1月6日、ダビ・カサデムントのデビュー作『荒れ野』(原題「El páramo」)のNetflix 配信が始まった。本作は昨年10月開催されたシッチェス映画祭2021でデビューを飾ったのだが、評価は大きく分かれていた。映画祭にはカサデムント監督、3人の主演者、インマ・クエスタ、ロベルト・アラモ、子役アシエル・フローレスも現地入りした。最初のタイトルは内容に近い「La bestia」(獣)であったが、8月にシッチェスFFにノミネートが決まったさいに現在のタイトルに変更したそうです。製作者によると〈荒れ野〉は「歴史を掘り下げるための重要な要素であり、撮影地としてアラゴン州のテルエルを選んだ」ということです。

(アシエル・フローレスとダビ・カサデムント、シッチェス映画祭、フォトコール)

(左から、ロベルト・アラモ、アシエル少年、インマ・クエスタ、監督、同上)
『荒れ野』(El páramo / The Wasteland)
製作:Rodar y Rodar Cune y Televisión / Fitzcarraldo Films
監督:ダビ・カサデムント
脚本:ダビ・カサデムント、マルティ・ルカス、フラン・メンチョン
音楽:ディエゴ・ナバロ
撮影:アイザック・ビラ
編集:アルベルト・デ・トロ
キャスティング:ペップ・アルメンゴル
プロダクション・デザイン:バルテル・ガリャル
美術:マルク・ポウ
セット:タイス・カウフマン
衣装デザイン:メルセ・パロマ
メイクアップ:(特殊メイク)ナチョ・ディアス、ヘスス・ガルシア、(アシスタント)ミリアム・ティオ・モリナ
特殊効果:The Action Unit
プロダクション・マネージメント:エドゥアルド・バリェス
製作者:ジョアキン・パドロ、マル・タルガロナ、マリナ・パドロ・タルガロナ
データ:製作国スペイン、スペイン語、2021年、ホラー・ミステリー、92分、撮影地アラゴン州テルエル、期間6週間、配給Netflix、配信2022年1月6日
映画祭・受賞歴:シッチェス映画祭2021正式出品
キャスト:アシエル・フローレス(ディエゴ)、インマ・クエスタ(母ルシア)、ロベルト・アラモ(父サルバドール)、アレハンドロ・ハワード(父の妹フアナ)、マリア・リョプ(獣ビースト)、ビクトル・ベンフメア(ボートで流れ着いた男)
ストーリー:19世紀のスペイン、ディエゴの家族3人は打ち続く戦禍を逃れて、社会から遠く離れた荒れ野に住んでいる。この小さな家族は訪問者を受け入れず、ただ平和に暮らすことが願いだった。ある日のこと、瀕死の重症を負った一人の男がボートで流れ着く。突如として家族の平穏は破られる。一命を取りとめたにもかかわらず男が自ら命を絶つと、父サルバドールは母ルシアの反対を押しきり遺体を家族のもとに届けると荒れ野を出て行く。残された二人はひたすら帰りを待つのだが、この小さな家に暴力的な謎の生き物が出没しはじめる。成長していくディエゴの視点を通して、社会からの逃避と孤立、深い孤独と恐怖、監禁、喪失、父親の不在、心の脆さ、母の狂気と別れが描かれる。私たちは果たして現実と決別して生きられるのか。

(母ルシア、ディエゴ、父サルバドール)
★監督紹介:ダビ・カサデムントは、1984年4月バルセロナ生れ、監督、脚本家、編集者、作曲家、製作者。2006年カタルーニャ映画視聴覚上級学校 ESCAC を卒業、2007年から助監督や短編、ビデオショート、ドキュメンタリーを撮り、5年の準備期間を費やし「El páramo」で長編デビューする。2014年の「La muerte dormida」(15分)がファンタスティック・シネマ・フェスティバル2015で監督部門の審査員賞、短編映画賞2015ドラマ部門SOFIEを受賞した他、ノミネーション多数。本作は現在でもYouTubeで英語字幕入りで鑑賞できる。主な短編映画は以下の通り:
2007年「Jingle Bells」
2009年「Paliza a Pingu」
2012年「Te he echado de menos」(ビデオショート、共同監督)
2014年「La muerte dormida」
2014年「Una vida M.」
2016年「Rumba Tres: De ida y vuerta」(ドキュメンタリー、共同監督)
2016年「Compta amb mi」
2021年「El páramo」(長編デビュー作)
コロナウィルスのパンデミックが脚本に変化をもたらした
A: ジャンル的にはホラー映画ですが、これは心理的なスリラー、ディエゴ少年のイニシエーション、多分に監督の自伝的な痕跡を感じさせます。19世紀のスペインの家族という設定が、そもそも信頼性にかけているようにも思えます。
B: 19世紀の戦争といえば、ナポレオンの侵略に反対するスペイン独立戦争(1808~14)、いわゆるナポレオン戦争をイメージしますが、遡りすぎます。19世紀半ばの3回にわたって繰り返されたカルリスタ戦争(1833~76)でしょうね。
A: どちらもスペイン全土に広がりましたが、特に後者は撮影地となったスペイン北部やカタルーニャ地方が戦場になった。厳密には内戦です。それより永遠に続くと思われるコロナウイリスのパンデミックをイメージした視聴者が多かったのではないか。監督も2年間のパンデミック体験を新たに脚本に取り入れたとコメントしています。
B: ホラーとしてはあまり怖くないのでがっかりしたホラーファンも多そうです。視聴者の「時間の無駄だった」というコメントには笑いを禁じえません。恐怖より孤立、孤独、喪失感、監禁状態の不安が強かった。
A: ディエゴ少年の視点で描かれているから、素直に少年の成長物語とも読めます。そのためには先ず庇護者であるが若干抑圧的な父親を追い出す必要があります。自立のためには父親の不在と母親との別れが求められるから、これらの要素は前半で充分予測可能なことでした。

(ルシアに別れを告げるサルバドール)
B: 愛する家族を残し、見ず知らずの男の家族のためという強引な追い出し方でした。父サルバドールは息子に越えてはいけないと諭した自らつくった境界線を越えて、かつての危険な場所に戻っていく。荒れ野には二度と戻ってこないだろう。
A: 監督は15歳のとき父親を病で失っており、立ち直りに時間がかかり今でもトラウマになっていると、シッチェス映画祭のインタビューで語っています。本作は「私の一種のセラピーであって、映画が狂気から私を救ってくれた。父親はシネマニアでハリウッドのクラシック映画ファンでした。90年代には『ジュラシックパーク』『フォレストガンプ』『ブレイブハート』『タイタニック』などを父親と一緒に観のです」と語っている。

(案山子のようなオブジェで仕切られた境界線を越えていくサルバドール)
B: 「映画が私を育て、人生を理解させ、幸せになることを教えてくれた」とも語っている。
A: 監督は映画を映画館で愉しむ最後の世代かもしれない。劇中のルシアと実際の母親が重なるかどうか分かりませんが、彼女の場合、夫を失うことへの不安が鬱を招き、謎のビーストの出現はルシアの絶望による幻覚かもしれない。
B: 獣は彼女自身の精神が投影されているようで、ビーストの力は本質的に心理的なものであり、本物でないことを示唆してもいる。

(影に怯えるディエゴ)
A: 監督は「父親が亡くなるまでのゆっくりした衰えは永遠にあるように感じた。一緒に『エクソシスト』や『ポルターガイスト』のような古典的ホラー映画も観ました。ゴーストたちがスクリーンを駆け抜けるのが魅力だった」と。
B: 『シックス・センス』のM・ナイト・シャマランや『永遠のこどもたち』のフアン・アントニオ・バヨナのファンだそうです。しかし本作は母と息子の物語で、父親は姿を消していきます。
現実との決別、狂気との闘い、純粋な暗闇
A: 本作はスクリーンで見るほうが奥行きが実感できそうです。いくら大型テレビに転送しても、明るい茶の間では純粋な暗闇や茫漠とした荒れ野を実感するには限界があります。監督は「スクリーンで愉しむために設計された映画がテレビで成功すること」が理想と語っていますが、本作はどうでしょうか。
B: 暗闇の中で物語は進行し、蝋燭の灯り、暖炉で燃えさかる炎、野外の撮影でも自然光で照明は極力抑えられている。光の遊びという点でロバート・エガースのホラー『ウィッチ』(15)を連想した人が多かったようですが。

(蝋燭の灯りのもと、自殺した妹フアナの話をするサルバドール)
A: サンダンス映画祭で監督賞を受賞している。17世紀を舞台にした魔女裁判に絡めたホラー映画、予告編しか見てないのですが、テーマは異なっています。影に隠されているものが何か、闇は恐怖であり、孤独感や喪失感かもしれない。ロベルト・アラモとインマ・クエスタが、永遠の恐怖に悩まされている夫婦に命を吹き込んでいる。
B: 真っ暗闇の恐怖と、開けられた窓から射しこむ光、風と樹々の音のあいだで、私たちの緊張は和らげられる。本作は時代や出身地と関係なく、私たち全員に等しく関係する普遍的な物語です。
A: 主役ディエゴを演じたアシエル・フローレス(2011年3月)は、ペドロ・アルモドバルの『ペイン・アンド・グローリー』(19)で映画デビュー、何本かTVシリーズに出演している。アルモドバル映画では、アントニオ・バンデラスが扮したサルバドールの少年時代を演じた。そこではペネロペ・クルスとラウル・アレバロが両親になるという幸運に恵まれた。

(アシエル、ペネロペ・クルス、ラウル・アレバロ、『ペイン・アンド・グローリー』)
B: 本作撮影当時は10歳くらいだったが、6週間に及ぶテルエルの監禁生活によく耐えた、と監督以下スタッフから褒められている。
A: 子役が大人の俳優として成功するのは難しい。現在小学校の高学年、本格的な教育はこれからです。髪も目の色もブラウン、彼の大きく開いた目に映る人影は何のメタファーか。

(ディエゴの目に映る人影)
B: もう一人の子役、父サルバドールの妹フアナ役のアレハンドラ・ハワード(2010年2月)は、バルセロナ生れ。
A: 父親はカリフォルニア生れの俳優スティーブ・ハワードでアサイヤスの『WASPネットワーク』や、TVシリーズに出演している。母親はカタルーニャ出身ということで、アレハンドラは英語、スペイン語、カタルーニャ語ができる。従って英語映画やアニメのボイスなどで活躍できる基礎ができている。

(フアナ役のアレハンドラ・ハワード)
B: 今回は小さい役でしたが、第一次世界大戦のポルトガルのファティマを舞台にしたマルコ・ポンテコルボの「Fatima」(20『ファティマ』)では生き生きしている。プライム・ビデオ他で配信されている。
A: 1917年のファティマの聖母の史実を元にしたアメリカ映画です。他にマリベル・ベルドゥが主演のTVシリーズ「Ana Tramel. El juego」(21)に出演、将来的には大人の女優を予感させます。
B: ベテラン演技派のインマ・クエスタとロベルト・アラモは、何回も登場させているので今回は割愛します。クエスタはダニエル・サンチェス・アレバロの『マルティナの住む街』(11)がラテンビートで上映されたとき、一番光っていた俳優でした。期待を裏切らない女優です。

(夫から贈られた赤いドレスを着て闘うルシアとディエゴ)